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台湾烏龍茶の製茶を見学!美味しい高山茶が出来るまで①

昨年の夏は、台湾南部南投県にて、相方の友人家族がされている夏茶の製造を見学させてもらってきました。

台北からは車で四時間以上かかります。台中まで一旦南下し、その後東へ向かって山道をひたすら進みます。台湾のスイスとして有名な、清境農場という観光地(車内から羊さんが見えました。)の近くにある高山地帯で、標高は3000m超、真夏でも涼しく、夕方以降は寒いくらいの気候でした。こうした環境で出来るお茶とはどんなものか、しっかり見学させて頂きました。

青い印のあたり。思いっきり山岳地帯です。

こちらが今回お世話になった林さん一家の製茶工場。

ちょうどお昼12時前に到着。着いたころにはすでに、茶摘みも終わり、工場前の駐車場のようなスペースで乾燥させていました。

茶摘みは早朝から、昔ながらの笠を被り、背中に担いだ大きなビニール製の籠に入れていきます。こちらの茶畑は、かなりの急斜面に作られていますので、機械摘みは一切出来ません。広いこの面積全てを人力のみで積んでいくのですから、大変な重労働です。

 

 

こちらの製茶工場では、茶摘みなどの軽作業は、ベトナムなど海外から来られている女性を中心にされていました。日当はこっそり聞いた限りでは、想像以上に高く、よほど大変な仕事なのだろうなと思いました。

こんな笠を被って作業されていました。軽くて、直射日光を遮るにはちょうど良いですね。(笑)

基本的に製茶の期間(今回は一週間程度)は寝食も共にされているようで、朝昼晩と、工場長の奥様が作られたご飯を釜から各自取り分け、皆で休憩しながら食べ、夕方仕事が終わると、従業員専用のシャワーで汗を流し、大部屋で雑魚寝するんだそうです。

工場で若い男性陣が製茶の作業を大きな機械を使ってされていましたが、こちらはほぼ夜通しで、仮眠もあまり取れないそうです。大変ですね…

大音量のテクノミュージックといいますか、クラブミュージックをガンガンにかけて、ビンロウを噛みながら刺青の男性陣が作業されている姿は正直少し怖かったです。

ちなみにこちらの工場では有機肥料のみを使って、お茶の木を育てているそうで、残飯なども畑にそのまま廃棄しているため、ハエの量がすごかったです。ハエ取り紙をあちこちに置いていますが、すぐに真っ黒になってしまうくらいでした。体にも環境にも良い製品を作るとなると大変ですね。

この地域は夜にはかなり気温が下がります。昼間でも十分涼しいくらいでしたが、夜は寒いです。夜になると、ハエたちの活動も大人しくなるので少し助かりました。(笑)

また、この近隣は製茶工場が山の中に数軒、数百メートル以上離れて点在しているぐらいですので、明かりもほとんど無く、満点の星空を眺めることができました。

では、以下で順に製茶の工程を追っていきたいと思います。

乾燥(萎凋)

まずは、製茶工場前に広くとられた駐車場一面に、ビニールシートを広げ、その上に今朝積んできた茶葉を置いて乾燥させます。

これは萎凋(いちょう)と言って、葉から水分を抜く工程です。30分に一度、シートをめくり上げては一気に葉の上下を入れ替えます。こうすることで、葉の乾燥を全体に万遍なく行き渡らせるのだそうです。

日が当たりすぎると、葉が焦げてしまいますので、ネットを被せて遮光しています。これも天気によって調節するそうです。

しかし、この方法はスピーディで効率的ではあるものの、葉を激しく動かしすぎるので、葉が痛んでしまい、排水が上手く行われなくなるため、嫌う農家も多いそうです。そうした場合は、代わりに時間と人出をかけて、大きな熊手で優しくかき混ぜたりもするのだそう。

 

一気に布を動かす光景はある種圧巻です。

 

室内乾燥

 

続いて、冷房の効いた室内に一旦移し、再び萎凋させます。ここでは室外と異なり、湿度や温度の管理が徹底されているため、葉の脱水の程度を調整しやすくなるのです。

しかし、これも様々な意見があるそうで、必ずしも冷房の部屋で行う必要はなく、自然の風をすべての方向から当たるようにして、自然に乾燥させた方が、葉の青臭い風味が抜けやすくなる、という説もあるようです。

また、熟練した製茶の職人は、葉の様子を細かく観察することで、様々な温度条件の下でも、萎凋の進み具合をコントロールする技術を持っているそうです。でもそれはそれで、かなり手間と時間がかかりそうですし、大量生産するのは大変そうですね。(汗)

萎凋が進むと、文字通り、葉が萎れたような形になり、葉から独特の芳醇な香りがしてきます。萎凋の進行程度をコントロールすることで、このお茶は花の香りを強めに出そう、とか、果物のような香りに仕上げよう、といった具合に、お茶の味を決めることが出来るそうです。

こちらの工場はかなり大量の葉を一日で加工するため、乾燥の工程を二階の体育館のような広いスペースでも行っていました。二階にクレーンを使って運び、室内萎凋させます。こうした重労働が増えるのは、大量生産の辛いところですね。

屋外で乾燥させたり、場所を移動させたりといった製茶の作業のほとんどはスタッフの力を借りて、効率的に行いますが、やはりお茶の味を決める段階では、工場長が香りや葉の状態をチェックし、どこで萎凋を止めるかの判断をするそうです。そのくらい製品の質を左右する重要な工程なのだそうです。

簡単に説明すると、一般的に言われるお茶の発酵とは、酸化発酵のことであり、微生物の力を借りて行う発酵(パンの酵母など)とはまた少し違うんですね。

萎凋して、茶葉から水分を抜くということは、葉に含まれる各種栄養素、カテキンやアミノ酸などがある一定の条件下(温度、水分量、栄養素の濃度)になると一気に酸素と結合して酸化し始めるのです。その最適な条件になるように茶葉の中の成分を調整する、ということです。

この後、さらに萎凋を止める工程へと移動しますが、長くなりますので、今回は一旦ここまでにします。次回、撹拌と殺菁(サッセイ)についてお話したいと思います。

夕方、製茶が一段落したところで、ご近所を散歩してきました。この辺りは製茶工場が数軒あるのみで、お店や民家も何もありませんので、空気が澄んでいてとても気持ちが良かったです。

遠くの山に靄がかかっていて、とても綺麗です。もののけ姫と山犬が走っていそうですね。(笑)

このあと、工場長ご家族とともに夕食を頂き、しばしゆっくりさせて頂きました。星空が綺麗でしたので、また少し散歩もしましたが、日中に比べてかなり気温が下がり、寒いくらいでした。台北であれば、この時期はもちろん熱帯夜が続いていますので、寒暖差の大きさに風邪を引きそうでした。

工場二階の住居スペースをお借りし、毛布にくるまって就寝しました。窓を閉めていても隙間があるのか夜でも虫が入ってくるのでそこは少しつらいものがありましたが・・・

それでも夜通し作業をし続けるスタッフの皆さんには頭が上がりません。短期の季節労働とはいえ、かなり大変だなぁと思いました。それでは本日はここまで。

 

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